遺産分割協議について

 人(被相続人)の死亡と同時に相続が発生するということはすでにお話したとおりです。相続が発生すると、被相続人の財産は一応共同相続人の共同所有と言う形になります。

→相続分についての規定はこちら

 

 ですから誰がどの財産をどのくらい相続するのか、相続人全員で話し合って確定しなければ、財産は各相続人の自由になりません。
 この話し合いを遺産分割協議といい、相続人間で合意した内容を書面にしたものを遺産分割協議書と言います。

 また、この書類は財産の名義変更等の相続登記手続きにおいて添付書類として必要になってきます。

 では、さっそく法律の規定をみながら、遺産分割についてご説明します。

 

遺産分割の基準


民法第906条
 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

 必ずしも相続人の数でキッチリ等分しなければならない訳ではなく、誰がどの財産を引き継ぐことがもっとも自然かと言う判断にもとづき、各相続人の自由な意思で合意すればよいのです。

 また遺言書は故人の遺志として尊重されるものではありますが、もし相続人全員が協議して合意に至れば遺言内容と違う遺産分割をしてもかまいません

※但し908条などの例外あり

 

遺産分割の実行と制限


 遺産分割協議は相続人全員でしなければなりません。
 たとえ共同相続人の中に不仲で疎遠な人がいたとしてもその相続人が参加していなければ協議は無効です。

 また未成年者行方不明者が含まれている場合は、家庭裁判所に特別代理人や不在者財産管理人を選任してもらいその代理人が本人の代わりに協議に参加することになります。

 さらに戸籍調査で自分たちの知らない身内がいたり、遺言が発見されて包括的な遺贈(「全財産の3割を譲る」などと書かれている場合)が記されていればその包括受遺者(もらう側の人)、その他相続分の譲受人も相続人と同一の地位を有するので協議に参加することになります。

 ですから協議を開く前に相続人など利害関係人の調査と相続財産の全容をつかむ必要性があります。

 

民法第907条
 共同相続人は、第908条の規定によって被相続人が遺言で禁じた場合を除く外、何時でも、その協議で、遺産の分割をすることができる。

 条文中の第908条の規定とは相続開始から5年を超えない期間内分割を禁ずる遺言ができるというもので、残された者が住んでいる家や店なんかを急に分割されれば生活の維持が困難になる場合に配慮したものです。

 「何時でも」とあるのは何十年もほったらかしにしてある日いきなり協議を申し出てもいいわけですが、だいたい被相続人の四十九日前後ぐらいから相続開始10ヶ月以内(相続税の申告期限)までに行われるのが通常でしょう。
 これは相続税の課税対象になる可能性がある方は税の軽減措置等の受ける為には期限内の申告が必要だからです。

 また相続財産に負債が多い場合には、相続放棄限定承認を考える必要性がでてきますので、さらに早く検討しなければなりません(相続開始から3ヶ月以内)。


民法第907条2項
 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。

 必ずしも相続人の間で協議がうまくいくとは限りません。
 また分割協議への参加を拒む相続人がいることもあるでしょう。よってその時は家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
 そして調停がまとまらなかった場合は審判手続きに移行することになります。
(※調停を先に申し立てないといけないとは決められていませんが、家庭裁判所は先に調停手続きを指導するのが一般的です。)
 さらに審判に不服があれば訴訟で争うことになります。


民法第907条3項
 前項の場合において特別な自由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、分割を禁ずることができる。

 やはり908条の遺言での分割禁止と同様に家庭裁判所も5年を超えない範囲で分割を禁じることができます。

 

アドバイス


 遺産分割協議は、相続の一連の手続きの中でも一番問題となりやすいところですので、遺産の分配方法について相続人間で揉めそうだ(または、すでに揉めている)と思われるときは、なるべく早い段階で専門家に相談し、円満な解決を図るようにしていかなければなりません。

 

 専門家に頼むと費用がかかる・・・という理由から、当事者だけで話し合いをされる方がおられますが、それで円満な解決に至ればよいですが、少しでも話し合いがこじれてしまうと、余計な時間とお金がかかり、結果として最初から専門家に依頼しておいたほうが安く済んだということになることが多いのがこの問題の特徴です。

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